ハーティストstory~おばあちゃん~

おばあちゃんって、すごい。”ハーティスト”として働く方から寄せられた、日常の心温まるストーリーをご紹介します。

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ハーティストの、いつもと変わらない日常の中にあった、ちょっと特別なおはなし。

ある夏の、とっても暑い日のことだった。

――ピンポーン

「こんにちはー!ごはんをお届けに参りましたー」

インターフォン越しに挨拶すると、「はーい」という声とともに静かにドアが開いた。

「いつもありがとねー。今日は何を注文したっけ?」

「今日は冷たいおうどんですよー」

玄関に入らせてもらうと、モワッとした空気が頬にぶつかるのがわかった。

「吉田さん、今日もお外はとても暑いですよ。お部屋の中もサウナみたいになってます」

「ありゃりゃ。ずーっと家にいるもんだからあまり気付かなかった。私は暑さに強いからねえ。そんなに暑い?」

今年で86歳になる吉田さんというおばあちゃん。「私は暑さに強いのよ」が口癖だ。
吉田さんを含め、さまざまな事情で買い物に行けない方に食事や日用品をセブンイレブンからお届けするのが私の仕事。

「暑いどころか溶けそうなくらいですよ。ちょっとお邪魔します。冷房付けましょうね」

と、クーラーのリモコンが見当たらない。

「吉田さん、クーラーのリモコンはどこでしょう?」

「えーっとね……あらっ、どこだったっけかな。その辺にない?」

「この辺ですか……? あっ! ここにありました! 良かった~」

座布団の下に埋もれたクーラーのリモコンを手に取り、座椅子にちょこんと座る吉田さんのそばに腰を下ろす。

「気付かないうちに熱中症になりやすいので、冷房をつけるようにしましょう。特に、あの温度計の赤い印を超えたら絶対につけてくださいね。28度に設定してありますから、寒かったらこのボタンで温度を上げてください」

吉田さんちの部屋の壁に掛けてある黄色い温度計。こんなときこそ役に立つ。

「どうもありがとね。クーラーのつけ方がたまに分からなくなって、まあいいっかってそのままにしちゃう」

「私も暑さに強いほうですけど、それでも辛いくらい最近は特に暑いですよ。それと、こまめにお水や麦茶を飲みましょう。のどが渇く前にちびちびと飲むのが重要ですよ」
「そうそう、それもつい忘れちゃう。あれだけテレビで“水分補給が……”とかなんとか言っているのにね。気を付けなきゃね」

吉田さんは、ほんわかしていて物腰も柔らかいおばあちゃん。だけど、一人暮らしなだけにちょっと心配だ。

「あれっ、今日は可燃ごみの収集日でしたね。次は土曜日なのでそのとき出しましょうか。この表を見てください。ほら、水、土が可燃ごみ。ちなみに月曜日が不燃ごみです」

ごみの収集日もよく忘れてしまうので、一緒に確認する。

「あらま、今日だったの?ごみの日もつい忘れちゃってねー。これを見ればいいの?」

収集日が記載されている表を確認する吉田さんの横顔を見ながら、ふと3年前に亡くなった祖母のことを思い出した。

祖母はいつも笑顔で優しかった。おばあちゃん子だった小さい頃の私は、祖母の家に遊びに行くのが楽しみで仕方なかった。自分が大人になるにつれて、自然と祖母と顔を合わせる機会も減ってしまった。
ただ、大好きな祖母にひ孫の顔を見せてあげられたことは、本当に良かったと思っている。

でも、もっとおばあちゃんと会っておけばよかった……そんなことを考えても、もうその時は戻ってこない。

「どうしたの?なんだか悲しそうな顔して」

「あっ、すみません!私ぼーっとしてましたね」

「悩みでもあるの?」

「いま何故かふと祖母のことを思い出しちゃって。大好きだったのに顔を合わせる機会が少ないままお別れしてしまったので、ちょっと思い出しちゃいました」

「あなたのおばあちゃんは、きっと今もあなたの活躍ぶりを喜んでいるわよ。子育ても仕事も立派にがんばっているじゃない。ちゃんと見ていてくれているよ。まず、会う機会が減っちゃったことを気にするほど、おばあちゃんって弱くないわよー。まあ、もちろん寂しいと思うことはちょっぴりあるけどね」

そっか。吉田さんにもお孫さんがいるんだ。

「吉田さんはお孫さんと会えていますか?」

「もう孫も社会に出て3年目だから忙しいみたいだし、遠くに住んでいるからなかなか会えないけど、たまに電話してきてくれてね。あの子の元気な声と活躍ぶりを聞くと本当に嬉しくなるよ。私も健康でがんばらなきゃねー」

「またお孫さんに会えるのが楽しみですね。元気が出ました。私もがんばります!」

おばあちゃんって、すごい。
吉田さんの言葉は、シンプルながらもまるで自分の祖母に言われたかのように、スーッと私の心の中に浸透していくのが分かった。

クーラーもごみの収集日も忘れちゃうと笑っていた吉田さんだけど、話しているとどこかあたたかみを感じる。
「では、また伺いますね! 冷房忘れないでくださいね」

「はいはい、大丈夫よー。もう忘れないわ。いつもありがとうねー。」

帰り際に恒例の吉田さんとのふんわりとした握手。今日はなんだか特別に感じた。

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