丼ぶりを超えた、ホワイトデー

私はちょうどひと月ほど前、「バレンタインはチョコを再発見する日だ」と位置づけ、チョコが入ったラーメン『チョコブラック』について紹介した。そこで今回は、ホワイトチョコをテーマにしたつけ麺『つけガーナホワイト2017〜苺の香り〜』を紹介することで、チョコの可能性を再び宣伝しようと思う。断っておくが、チョコにはなんの“義理”もない。

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3月14日のホワイトデーが、日本発祥のイベントだということをご存知だろうか? 正確な起源は諸説あるが、バレンタインデーのお返しをする日として1980年頃に制定されたというのが通説のようだ。


もちろんこれは大手菓子メーカーや協会によって“作られた”イベントではあるが、趣旨であるお返しという発想は、律儀でお節介でどこか“日本っぽい”。そのお陰で小学生などは、「あんたリブ子ちゃんからチョコもらったんだから、ちゃんとお返ししなさいよ!」と母親にどやされる。しかしリブ子ちゃんが友達とキャーキャー連れ立って半ば攻撃的な様相でチョコを押し付けてきた真意など少年にわかるわけもなく、母ちゃんが怖いので仕方なくキャンディなどを買いにいく。彼が恋のなんたるかを知るのは、それから5年後のことだ。

私はちょうどひと月ほど前、『丼の中のバレンタイン』という記事の中で「バレンタインはチョコを再発見する日だ」と位置づけ、チョコが入ったラーメン『チョコブラック』について紹介した。

つまり私はチョコレートの可能性を再発見させてもらったため、そのお返しは当然チョコレートにすべきだろう。そこで今回は、口にするだに皆さんのグロテスクな表情が想像できる、ホワイトチョコをテーマにしたつけ麺『つけガーナホワイト2017〜苺の香り〜』を紹介することで、チョコの可能性を再び宣伝しようと思う。断っておくが、チョコにはなんの“義理”もない。

『つけガーナホワイト2017〜苺の香り〜』は製菓メーカーロッテと『麺屋武蔵』がコラボした期間限定メニューで、今年で2年目を迎える。実はこのコラボ、バレンタインデーにも毎年行われおり、ひと月前にもチョコとつけ麺を合わせた『つけガーナ2017』が期間限定で提供されていた。訪れた麺屋武蔵新宿総本店は新宿駅西口から10分弱の場所にあり、行列もできる有名ラーメン店だ。

観光ガイドなどにも数多く載るこちらは、席数も多く観光客や女性同士のお客さんも目立つ。
そんななか、いよいよ『つけガーナホワイト2017〜苺の香り〜』が爽やかに着丼する。

ガラスの容器に盛られた麺の上には、数種類の野菜とハーブ、ピーナッツを和えた細切りのハーブチャーチュー、そして大量のいちごが乗っている。そして頂にはガーナホワイトが一欠片。
いちごを見て、「あ、そういやこの冬食べてなかった。ラッキー!」なんて思ったのもつかの間、やってきたつけ汁のビジュアルがすごい。完全にピンクだ。

メニュー名の『〜苺の香り〜』とかいうレベルではない。試しにこのピンクのつけ汁にいちごを浮かべてみる。フルーチェができた。

……違う、これはつけ麺のスープなのだ! 遊び始める脳みそに食欲を思い出させ、いざ食べ始める。
チョコやいちごを使ってはいるけど、甘くないつけ麺に仕上がってるんでしょ?と予想した諸君は甘い。そう、このつけ麺は、諸君より甘いのだ。スープはフレッシュな苺をふんだんに使っており甘さよりも酸味が効いているものの、私たちが知っているつけ麺のつけ汁ではなく、言うなればいちご汁だ。そして細麺のスパゲティフェデリーニには特製ガーナホワイトチョコパウダーがまぶしてあり、お陰で口の中にはしっかりと甘さが広がる。

トッピングのハーブも独特の爽やかさを足して、全体的にはフルーツを使ったパスタサラダに似ていなくもない。

そして、つけ麺にはつきもののスープ割り(残ったスープを出汁で割って飲めるサービス)は、なんとガーナホワイトと牛乳で作ったソースをつけ汁に投入し、完全にデザートとして頂くことになる。麺の上にあったガーナホワイトも投入し、結局フルーチェ的なものになったじゃないかと思いながらこれを飲むと、ようやく私たちの脳みそが知っている、チョコといちごの美味しいやつになっていた。


お気づきかと思うが、このつけ麺は万人に受けるかというとそういう性質のものではない。そもそもこれは、つけ麺にチョコを取り入れたわけではなく、チョコ(といちご)でつけ麺を作ったといった方が近いだろう。しかしそれはメニュー名にガーナを冠していることからも間違いではなく、むしろチョコを再発見するためのアプローチとしては、大胆かつ実直なのかもしれない。そして、フルーツを使った料理や甘い食事が好きな人にとっては、是非とも試して頂きたい一品と言える。

私自身どうだったかというと、正直未だに食事だったか、デザートだったか、その答えに脳みその方が混乱している。しかし思い返すと、ホワイトデーとはそういうものなのだ。
3月14日に少年が面倒臭そうに渡してきたキャンディが意味するものは、バレンタインのそれよりも更に真意が不明だった。母ちゃん怖さのお返しなのか、かねてからの渾身の一撃なのか、はたまた少女がくれたチョコのなかに、自分の気持ちを再発見した結果なのか……。
『つけガーナホワイト2017〜苺の香り〜』は麺屋武蔵の新宿総本店と芝浦店で3月14日まで提供されています。皆さんも、わけがわからずとも甘酸っぱいホワイトデーを、一度お試しあれ。