旅するようにカフェしよう

少しさびた門の奥には、ゲストをいざなうように古木のアプローチが続く。蔦の絡まる白い壁に木枠の窓、そこに立てかけられたガーデニングの道具たち。ドアには、ステンドグラスやドライフラワーのリースが飾られ、住人はなんてすてきなご婦人なのだろうと想像をかきたてられる。

trip

ここはカフェ。


しかし一言で「カフェ」といってしまうには申し訳ないほどの世界観をもっている。振り向くとアスファルトの道路があるとは思えないその特別な空間は、駅からわずか徒歩15分ほどの住宅街に突如現れる。品々が並ぶ雑貨屋さん、そして月に1回開かれる「秘密の」と呼びたくなるような花マルシェ。隣接する建物では、美容室も経営しており「おまかせ」と注文しても必ず素敵に仕上げてくれるそうだ。


それぞれの建物が敷地内に点在し、それぞれに雰囲気がある。建物の裏には畑があり、オーナー(ちなみにオーナーはご婦人だけではなくすてきなご夫婦であるが)のご両親がカフェで提供する野菜を育てている。かたわらには、木でできた荷台と葡萄のつるが巻きつく朽ちた棚。奥に見えるのはビザ窯…そこにあるものすべてに物語があるかのよう。フランス語で「家族」と名がつくこのカフェは、その名の通り家族のようにお客様をもてなしてくれる。

café la famille(カフェ・レストラン)


やわらかい自然光が差し込む店内は、いくつかのエリアに区切られており、数組だけの秘密基地のようでありながら圧迫感はない。いずれにもゆるやかな空気が流れ、忙しい毎日を過ごす大人にこそゆっくりと食事やお茶を味わってほしい。一見女性が好みそうな空間ではあるが、存在感のあるテーブルや素材にこだわった壁など手作り感があり、男性でもまちがいなくくつろげる。


時代に合わせて、ゆるやかに変化をしてきた店内には、ライブが楽しめるレトロなステージと、お酒が楽しめるバーカウンターもある。


料理も本格的。スープからデザートに至るまで、ゲストの期待を裏切らない。窓から見える庭で散歩をしているゲストも少なくはない。中も外もお料理も、とにかく全てがすてきであるが、「生活に取り入れてもらいたい」というオーナーの計らいで、決して気張ったものや繊細なのもではない。ただただ、いずれにも「ちょっと」おしゃれなエッセンスが散りばめられているだけなのである。営業時間にはランチ後の休憩がないので、積もる話がある気心が知れた友人と、ゆっくり過ごしてみてはどうだろう。

generaL STORE(雑貨屋)


庭で採れたであろうミモザのリースがお出迎え。迷い込んだ感があるのは、少し落としたライティングのせいだろうか、それとも、陳列されている商品の持つ世界観からなのか……アンティークと思しき雑貨から、アクセサリーや洋服に至るまで、実用的でありながら生活感はみじんも感じられない。海外から買い付けた選りすぐりの雑貨や服以外に、昔の庶民の日常着を参考に作られた服も販売している。


目があったときが買い時かもしれない、と思わせるすてきな物たちが、あっちでもこっちでも「連れて帰って」と言っているようで、悩むこと間違いなしである。

Inter Flower Designs(花屋)


いつもは隣町に店舗を構えているが、月に1回、ここへ不定期でやってくるお花屋さん。花の種類や色、ディスプレイもすてきで、見ているだけで家に飾るときのヒントをもらえる。予算に合わせてオーダーしても、期待を裏切らない仕上がりにしてくれそうだ。

Inter Flower Designs(インターフラワーデザンズ)
■場所
場所茨城県筑西市小林737
■営業
café la familleにおける出張販売、花マルシェは不定期(月に一回程度)

Official Website


…で、このカフェは一体どこにあるのだろう。
ここは、茨城県結城市。都内からは電車で100分(新幹線を使えば60分だが…)ほどかかる場所である。残念ながら、「わざわざ」行かなければ出会えない。しかしながら、この空間で時を過ごすためだけに「わざわざ」旅に出かけるのも、大人の休日らしいではないか。「旅するように」ではなく、本当に旅に出てみる価値があるかどうかは、どうぞご自分の目でお確かめを……。

café la famille/generaL STORE
■場所
茨城県結城市結城911-4
※最寄り駅JR水戸線「結城駅」(上野から小山駅で乗り換えて約100分)
■定休日
毎週木曜日・第1,3水曜日

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