週末、土曜日。明日の自分へごほうびを残すおこもり

週末、土曜日。 アラームに気付かなくて、起きるともうすぐ時計の針が重なるところ。12時かぁ。すこし寝すぎちゃった。休日って朝のうちに起きたこと、あんまりないな……。 カーテンを開けてみると、くもり空。快晴じゃなくてほっとする。 ピカピカに晴れていると「出かけなきゃいけないよ」って強いられている気分だけれど、くもりの日はまったりしてもどこか許されるようで、安心。くもりはやさしい。 よし、決めた。今日は外に出ない。家にこもって思いっきりゆっくりしよう。 名付けて、おこもり上手。今日はわたし、おこもり上手になる!

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ホットミルクから始まるおこもり

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まずは、ホットミルクをつくってみる 。

起きたばっかりでまだご飯を食べる気分じゃないし、身体をあっためるくらいで充分。

お気に入りのマグカップにとぽとぽと牛乳をそそぐ。温めたあとはスプーン一杯分のはちみつを入れてみる。

とろんとした黄金色の液体がゆっくり沈んでいくのを眺めていると、どこかうっとりして。ひとくち飲んでみるとやわらかくてまあるい甘味。

ああ、しあわせって思っているよりもずっとささやかでいいのかも、なんて思っちゃう。

心がのびやかになると、いつもは見過ごすようなことに気付く。

ミルクの入ったカップをテーブルに置くと、コトン、と鳴る音。とっても控えめだけれど、耳心地がよくって可愛らしい音。なんか、いいなぁ。 

窓をあけてみると電柱のあいだに薄くて淡いブルーが見える。くもりでも案外、空の色って綺麗なんだ。子供の頃は青といえば晴れの色だったし、くもり空は灰色のクレヨンでぐしゃぐしゃ描いていたのになぁ。

ぼんやり考えていると、レースのカーテンがゆらりと揺れる。やわらかな風。そんなのに気付く余裕もうれしい。

自由に、本を読んでみる

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こうなるとテレビの音も似合わなくて、だから本を読むことにする。

本棚に並んでいる多くはない本の中から、これかなって思ったものを2、3冊。直感的に。

課題図書じゃないんだから何だっていい。好きな順に読んで、好きな言葉だけ拾ってみる。

終わりまで読まなくてもいいし、あっちこっちと交互に読んでみてもいい。自由気ままで、ちょっといたずらっぽくて楽しい。

あ、仕事で使えそうなフレーズも見つかった。

明日の自分へのおみやげ

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満足できたら、明日の自分におみやげを残してあげる。

メイクボックスからごそごそとマニュキアを取り出す。濃いピンクでも、爽やかなグリーンでもなく、透明の。グラデーションとかフレンチネイルとか、難しいし、疲れちゃう。

だから今日はこれくらいがいい。はみ出てもばれないクリアネイル。

いっしょに入っているラメを爪先にちょんちょんと乗せてみる。すこし待って、乾いてから両手をあげてみるとキラキラ輝く。

角度によって色が変わって、万華鏡とか、星みたい。

あげた手をじっと見つめていたら、いつの間にか上を向いていて。

起きたときはあんなに憂鬱で下向き気味だったのに。

わたしだけの休日

今日はとなりに恋人も友達もいないし、ローマの休日のようにドラマティックなものでもないけれど、何にも縛られなくて流されない、私だけの休日だ。

明日、晴れるかな。ピカピカに晴れたらいいな。そうしたらこのネイルにぴったりのスカートを選んで、出かけたい。

家で過ごす工夫は、明日の自分を楽しむ工夫だ。

(文/榧野文香)