実は不倫だったこの関係、慰謝料を払うべき?

オフィスラブの中でも、禁断の関係である「不倫」。当事者として知らなければ相手の配偶者への慰謝料の支払いを免れる可能性がありますが、もしそうでなければ高額を請求されることも……?

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魅力的な上司との出会い


入社してはや数年、社内でも仕事の中心にいることも増えてきたAさん。アラサーになっても仕事に身をささげたいと考え、社内でも有望なB氏が率いるプロジェクトに参加しました。期待されたプロジェクトに初めて参加して、力を発揮したいと考えていたAさんは、熱心に仕事に打ち込みます。我が強く細部まで目を光らせてチームを率いるB氏は厳しいですが、フレンドリーに接してくれることもあり、色んなタイミングで話すようになりました。次第に2人で残業して残ることも多くなり、小さい打ち上げと称して飲みに行くこともしばしば。お酒の席では、お互いのプライベートな話には踏み込みませんでしたが、Aさんのキャリアの悩みをB氏は熱心に聞き、熱を込めてアドバイスを与えました。

プロジェクトも成功して、2人はまた別の仕事へ。B氏はさらに役職を上げてこれ以降頻繁に会うことはなく……ある日、LINEの履歴が残っていて、会話の途中だったことを見つけたAさんは近況報告もかねて連絡し、そこで意気投合した2人は飲む約束をしました。レストランでは、またしてもB氏からアドバイスをもらいますが、徐々に「プライベートとの相互作用」というテーマになり恋愛事情などを聞かれます。感情的になって終電を逃すほど恋愛について話し合うふたりは、そこからはあっという間に距離を縮め、男女の関係へ……

隠されていた関係


頻繁には会わないが、B氏が会いたいという時にはすぐに駆け付けたAさん。時折見せる弱った姿をみるたびに、こういう姿を見ることができるほどには対等な関係を築いていると感じていました。ある日Bさんのプライベートについて深く聞いたことがなかったことを思い出し、さりげなく聞いてみることに。いつもぼんやりとしか話をしてもらえず、結局自宅の最寄り駅を聞き出すだけに終わりました。都内の新興住宅街で、近くにも大きい複合施設もある某所。Aさん宅からはそこまで遠くもないため、休日に足を運んでみることに。そこで、B氏が女性と仲睦まじい様子で歩き、カフェでは薬指に指輪を付けた二人が手を取り合っているのを見つけてしまいます。
 
動揺したAさんは、だれにも相談できず、ひとまず相手から呼び出された日に恐怖心を抱えながら顔を出します。食事も終わりかけていつもの流れになりそうな時に、休日のことを聞く彼女。はじめは酔っておりよくわからない発言を繰り返すB氏でしたが、それを見て冷静になった彼女は問い詰めながらも事情を聞き出そうとします。お酒が入って気が大きくなっていたB氏はついにAさんに大声をあげ、上司である立場を利用して彼女の口を封じようとします。

後日AさんはB氏の上司に相談するも、B氏とのうまい解決を探すようにしか言われず解決策にはつながりませんでした。そこで弁護士に相談し、パワハラとしてB氏を遠ざけることに。さらにこのやり取りがB氏妻にも発覚。示談で事情を説明したところ、幸いにもB氏妻からは慰謝料は請求されず、B氏が慰謝料および離婚の手続きに入りました。

不倫の法律上の立場


まず「不倫」とは、法律上は「不貞行為」とよばれる「不法行為」です。不貞行為とは、「配偶者がいるにもかかわらず、第三者と肉体関係を持ってしまう行為」です。これが民法上の不法行為にあたり、他人の権利や利益を侵害し損害を与えたとみなされます。ある行為が不法行為に当たるか否かは、証拠を勘案した裁判官が判断します。ここからわかる通り、不倫は民法による規定を受ける行為であって、いわゆる刑事罰を受けるような犯罪とは区別されます。

そして、不法行為を行った人は民法に従って被害者の受けた損害を賠償する責任を負います。以上の例だと、B氏の奥さんは、B氏との円満な家庭生活を著しく乱された被害者であることから、慰謝料を請求する立場です。さらに、不倫の場合は行為に及んだ当事者二人ともに賠償の責任が生じ、AさんとB氏両方に慰謝料を請求することができます。

ただし、Aさんが不倫と知る余地がなかった場合はAさんに請求することはできません。なぜなら、不法行為を成立させるためには当事者に「故意」や「過失」があったことが条件となるからです。「故意」、すなわち不倫と知っていて関係を持った場合や、あるいは「過失」、知ることができる状況にあってそうしなかった場合でなければAさんは慰謝料請求の対象でありません。そして今回のケースではB氏が巧妙に隠し通していたために、Aさんが知る余地がなく「故意」も「過失」もなかったと判断される可能性が十分あります。また、B氏の奥さんがB氏にのみ慰謝料を請求することでAさんが慰謝料を支払うことを免れる可能性もあります。

慰謝料っていくらになるの?


慰謝料については争う当事者間の示談によって決定するので、その額についてはケースバイケースです。中には1000万円を支払わなければならなくなるケースもあり、交渉次第といえます。まずは、請求した相手の支払い能力に応じた金額であることが前提に。そうはいっても、収入や職業は額の増減の決定的な理由となりません。婚姻期間や、不倫期間、子供の有無などあくまで婚姻とその行為に関係する事象から判断されます。高額の請求に及ぶ場合は、金額の妥当性や根拠を説明して相手に納得してもらう必要があります。

決して見返りやゴールがあるといえない不倫関係。さらには破滅的金銭的罰があることから、どれだけ相手が好きでも賢い選択とは言えないかも…
「ひょっとして自分も破滅に向かう関係に?」と思ったら早めの清算を。