LiBzLIFE的読書 23:00 『ハムレット』

life読者に読んでほしい漫画・エッセイ・小説etc...を、読後の連想で紹介していく緩いコーナー。一日のうちでおススメな時間帯とともに一冊を紹介。

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メランコリックな夜


To be, or not to be. That is the question.」で有名なシェイクスピアの『ハムレット』。父を殺されたハムレットは、父の亡霊の声を聴き、その実行犯である叔父を追い詰めるが自分さえも殺めてしまう…
「今更、シェイクスピアなんて」と思われるかもしれないが、最近ベネディクト・カンバーバッチ氏が演じた舞台はチケット即完売といまだに人気を誇る。カンバーバッチ氏の人気のおかげかもしれないが、彼を長らく魅了した魅力は本物だろう。

夜になるとメランコリックな気分になることがある。底知れぬ不安がこみあげてそれを捌ききれず、決断や判断が鈍くなってくるのだ。こうなるといよいよ…という気もするのだけど、朝になると何に悩んでいたかも忘れてしまう。結果として言えることは夜のメランコリーは、寝る直前なので夢と現実が混ざったような気分になっているだけかもしれない。もちろん悩んでいた問題が解消しているわけでもないからまた悩むのだろう。だけど、これは問題の重大さが問題ではなくて、そういう「気分」なのだ。
悩みはむしろ過去からやってくることが多くて、ありえただろう何かを悔やむとか、結局は避けられず訪れた今に対して許してほしいと願うとか…
重い話だけど、やっぱり気分の問題だ。だから、こうなってしまった翌朝は「ハムレットっぽいなあ…」と振り返るだけになる。

誰の声?


劇中、殺された先王の亡霊と出会った後のハムレットは人が変わってしまい、恋人を驚愕させる。これは、ラファエル前派を有名たらしめた絵画『オフィーリア』のモチーフ。過去からの声をダイレクトに聞いてしまった彼は、傍から見たらアブナイ人に見えて当然だろう。実際にそういうことはないだろうから、この現象をハムレットの強烈な復讐意識として読むこともできるだろうし、メランコリックなハムレットのムードなんだということもできるだろう。ただ、これを言葉通り受け取って、つまり本当に幽霊の声を聞いちゃったととる方がロマンチックな気がする。

「自分の強烈な悲願にハムレットが突き動かされた」のではなくて、意外と人間は幽霊みたいな存在にダイレクトに動かされてるだけかもしれないし、そういう存在を見られる方がまだ幸せなのかもしれない。

ハムレット
■作者
ウィリアム・シェイクスピア
■翻訳
福田恒存
■出版社
新潮社

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