語りたくなる、東京駅

レトロでクラシックなデザインが人気の「東京駅」。日頃、素通りしてしまいがちなこの駅の歴史を少し紐解いてみます。いつも使っている駅の歴史を知れば、もっと毎日が楽しくなるかもしれませんよ?

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丸の内OLのお膝元、東京駅。レトロで重厚な佇まいに心を奪われる女性ファンも多数。実は、重要文化財として登録されていることを知っていますか? 1914年12月に開業したこの駅は当初「中央停車場」と呼ばれ、当時の新橋駅と秋葉原を結ぶ役割を担っていました。設計は辰野金吾氏。彼は日本銀行本店も手がけた、明治の建築家でした。

実は東京駅は辰野金吾氏が設計する前、ドイツのフランツ・パルツァー氏が設計を行っていました。パルツァー氏は、寺社をモデルとした日本風の設計を提案。しかし様々な理由と、明治時代の日本における”欧米へのあこがれと崇拝”という時流があったため、当時の建築界の権威であった辰野金吾氏が現在の東京駅の設計を担当する運びとなりました。

関東大震災をも耐えぬいた東京駅の駅舎は、戦時中の爆撃により建物に大きな被害を受け、現在の丸の内北口・南口のドーム屋根を含む3階部分大半を失ってしまいます。1945年から1947年に修復工事が実施されましたが、元の姿が再現されることはありませんでした。

それから65年後の2012年、東京駅は辰野金吾氏が設計した当時の姿を忠実に再現する形で復活することになります。この復元工事は500億円かかるといわれ、この巨額の費用を捻出するために東京駅上空の空間を東京駅に隣接する丸の内地区に建つ高層ビルへの転売(容積率の移転と呼ばれます)を行い、費用を確保していきました。平べったく高い建物を必要としない鉄道駅ならではの「土地の活用」といえます。

そんな東京駅を存分に眺められるスポットが東京駅の近くにあります。丸の内北口改札をでてすぐ左手にあるKITTEです。このKITTE、由来である「切手」とあるとおり、もともとは1933年に竣工した東京中央郵便局を一部保存して、商業施設に改装した、こちらも歴史のある建物です。このKITTEの6階には屋上庭園「KITTEガーデン」があり、そこから丸の内の高層ビル群と東京駅を一望することができます。

この屋上庭園から見る風景は夜になるとまた違った味があります。東京の中心でレトロとモダンが入り混じった風景を楽しんでみては?

写真/一居武